本当は長男に継がせたかった…

 後継者を長男と定め、事業承継を積極的に進めてきた社長が、ここにきて迷いが生じたとの相談を受けました。何でも、後継者を長男と指名して以降、長男が従業員に対して横柄な態度をとり、社長に対しても盾突くようになってきたとのこと…。また、これまで経営に一切関与してこなかった長男の家族が、なぜか会社経営に口を出すようになってきたとのこと…。
 典型的な長男の「勘違い」行動と言わざるを得ないのですが、代表者も一度は後継者として指名した手前、なかなか口出しできないようです。後継者の人格まで見切るというのは極めて難しいことだと思うのですが、ここまで豹変するのであれば、後継者指名の撤回と見直しを行う必要性も視野に入れるほかありません。一度進めてしまったものを巻き戻すのは相当な労力が必要ですが、時間が経過すればするほど取り返しがつかなくなるのも事実です。社長の想いを察すると色々と考えるところがありますが、弁護士としては淡々粛々と業務をこなすしかありません。

 


弁護士 湯原伸一

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。